「神戸爆音映画祭2014に行ってきました。」-第一話-

初日はこれ。
性同一性障害のロランス(元男性)とフレッド(女性)の10年にわたる愛の話です。

映画『わたしはロランス』特報 - YouTube


映画を観たというよりは...

濃ゆい人生をたっぷり観た。という感じ。
重ためのシャンソンをたっぷり聴いた*1という感じ。
物語の中を流れる時間は10年間なんだけど。
濃ゆい。なかなかに、濃ゆい。
そして観終わった後にどっと、疲れる作品。いい意味で

レインボーが隠れてた!

ゲイカルチャー特有の毒々しさは、それほどないんです。
だって、そういうテーマでもないしね。
とにかくもう、美しいシーンの多い映画でした。

チラシにも使われている、空からたくさんの洋服が降ってくるシーンをはじめ、
初盤、ロランスとフレッドがたのしそうに色の話をするところ、
ロランスが告白するシーンでフレッドが虹色のシャツを着ているところ、
ピンクの煉瓦。
すごく、象徴的。

「好奇心」がナイフになるとき

二人でランチを取っていると、ウェイトレスのおばちゃんから
根掘り葉掘り訊かれるシーンがあるのね。

「どうしてそんな化粧をしているの?」
「女の服を着て、どんな気持ち?」

けっこう、ずけずけと。けっこう、しつこく。

それに対して全力で抗議したフレッドに対して、オバチャンが一言。

「どうして怒るの?好奇心から訊いてるのよ」

これなーーー...。
ただの好奇心がどれだけ相手を傷つけるかってこと。
これに無自覚なの、罪だと思います。
相手のナイーヴな場所に土足で踏み込むの、それは罪です。
ただの好奇心?そんなの、免罪符にはならない。

嘘くさく響きませんように

わたしの立場からすると。
恋愛対象も結婚相手もずっと男性だし、自分の性も女という認識なんだけど。
こちらに実害*2がない限り、
誰が誰を好きになっても構わないじゃないか!という考えです。

こういう話をするときにいつも、偽善のにおいがしませんように。と願ってる。
「あなたに何がわかるのよ!?」と言われればそれまでだし、
興味本位で関わっているように見えて、不快かもしれないもんね。
当事者じゃないのにごめんなさい。というような、
一抹の申し訳なさはいつも感じる。

そんなつもりの立ち位置ではいたんだけど。
性同一性障害なんだけど、恋人が女性。
女性とセックスもできる。

というロランスの設定。
正直に言うと、最初やや混乱しました。
ああ、ほら。わたしの主張はなんて薄っぺらいんだ...
と、家に帰ってから落ち込んだもの。

でも、ロランスはパートナーに求めるものは「自分の最大の理解者」だったな。
ふと思い出して。
そういう人もいるだろう。と
勉強になりました。

そういう人もいるんだな。
それでいいじゃない。
世界はわたしが思っているよりもっともっと広くて、
そりゃあいろんな人がいるだろう。

しあわせを求める権利は、誰にでも等しくあるべきだと思う。
必要以上に気持ち悪がったり、あんな目で見たりしないで。

そういう人もいるんだな。

それでいいじゃない。

*1:美輪様、戸川昌子様あたりの

*2:具体的には、相手がわたしやわたしの大事な人を傷つけたとき。これは相手が男性でも女性でもその他の性であっても、一緒です。